5.「訪ね来る人々I」

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以前20年以上新潟でCave d’Occi Wineryを経営していた時もそうでしたが、ワイナリーというものは面白いもので、とにかく来訪者の多いところです。一昨年秋に醸造所・レストランが完成し、昨春は周囲の6haのぶどう畑の植え付けも完了し、きれいな庭も出来上がったせいでしょうか、偽りなく1日平均1組以上は本州のお客様が見えます。25人でいらっしゃるのは車でのせいでしょうか。食事なさる方々も多いのですが、地下の醸造・貯蔵スペースをご覧になった後、私と話し合って行かれる方々も沢山いらっしゃいます。201311月初旬にオープンして現在(20154月初旬)で15か月が経ちましたが、概算4000人程の人々をご案内し、対話したことになります。

 余市・仁木両町にまたがる地帯がワイナリーの集積地になる話をします。粒も房も小さくて甘みの強いワイン専用ぶどうの話をします。Vitis viniferaといって、ワインにするためだけに存在しているぶどうです。八百屋さんの店先に並ぶことはない特殊な農産物です。ですからこのワイン用ぶどうは一般の流通経路には乗りません。きっと日本一の量と思われる余市・仁木の15品種1000t程のワイン用ぶどうは殆んど決まった先へ流れます。

 23年前新潟でCave d’Occi Wineryを興した時は、新潟のワイナリーの周辺に沢山ぶどうを植えると同時に、この余市の農家3軒と契約して、こちらでもワイン用ぶどうを栽培して貰いました。ですから現在はその昔馴染みの農家さんのぶどうを頂いてのワイン作りです。自分で周囲に植えたぶどうは昨秋から成り始めました。今秋はもっといっぱい成るでしょう。

 これから私共の周囲で始める人々もスタート時はぶどうの調達に困ることでしょう。私共に余裕が出来たら、率先してそのような人々にぶどうを譲るつもりです。大きなワイン会社は要らない。中程度、小規模をいっぱい。それがワイナリー・ゾーニングで大切なことです。

 お陰様で私の話を信じて、この近隣でワイナリーを開こうという人が次々と手を挙げています。自分でぶどうを植えて頂くのは勿論ですが、スタート時の呼び水的ぶどうの供給量を安定させるため、譲渡目的型ワイン用ぶどう生産法人の設立を考えています。