100.我がワイン業界は明日どうなるか

2017/02/26

  先日、北海道庁の北海道産食品をプロモートするセクションの人々を訪ねて歓談して参りました。北海道の経済の現状を憂う気持ちと、近い将来の躍進を願う気持ちをお持ちで、私としては多少勇気付けられて帰って来ました。唯、ワインという産品についての専門性については、ちょっと情報不足かなあ、とも感じました。
  考えてみれば、この国にはワインのことを学ぶべき大学は全く存在しません。と言うより、教えるべき教授が誰一人居ません。しかるべきワイン国でワインのことを教えるための教育を受けた人が居ないのですから当然のことです。ですから、専門知識を欲するならば外国で学ばなければなりません。簡便法としては、きちんとぶどう作りとワイン作りをしている会社で長年修行する方法がありそうですが、それもきちんとしたワイン法が存在しなかったことのツケで、そんな会社が日本には殆ど存在しません。
  そんな状況ですから、老婆心ならぬ老爺の繰り言かも知れぬ私の助言ですが、これからの北海道を引っ張っていく気概のある方々(北海道庁の中堅の人々)は、積極的にヨーロッパを、アメリカを、ニュージーランドを見て歩きなさい、と申し上げたい。常に上空を見上げて、天空が地に落ちて来るのではないか、といった類の心配ではなく、確実にここ1年で北海道のワイン産業は、180度どころか異次元の変貌を迫られるのですから。
  先ず道産ワインの約半分を占めている、輸入ワインそのものか輸入濃縮果汁由来ワインが姿を消します。それらは今後、いくら国内、道内でビン詰めしても、従前のように「国産ワイン」と表示出来ず、それどころか「輸入原料使用」と明記しなければいけないのです。しかも輸入ワインと明記してあるコンビニのワインが1本300-400円ですから、もう今まで通り1本1,200-3,000円で売ろうとしても売れません。
  「○○ワイン」と市町村名を表ラベルに表示する場合には、原料ぶどうの85%以上がこの○○市町村産でなければいけない、という面倒臭い条項も「新ワイン法」に加わりました。何やかにやで道産ワインの売上は半減する、というのが私の見立てです。北海道の眼前の経済を考えるなら、私の推論は外れた方が幸いでしょうが、中長期的に北海道経済を考えるなら、半減も止むなし、原点に立ち帰ってスタートすべしです。有名大学を出て、北海道の経済を牽引すべく運命付けられている皆さん、よろしくお願いします。それじゃなくとも、きちんとしたワインの知識は西欧では淑女紳士のたしなみとまで言われているのですから。