15.「光は西から」
2015/06/19
かつて150年前、アメリカ合衆国の軍艦が来訪(?)したことによって、明治維新に至り、更には北海道の開拓までアメリカが請け負ったのですが、その所産として余市・仁木地区がアメリカ伝来の果物栽培のメッカとなりました。光は東方から来ました。若い国アメリカが当時の日本人、分けても北海道の人々に与えた精神的影響も大きかったと思います。その後、我が国の歴史上最大の戦争をこの国相手に戦い、惨敗しながらも更に大きく旧きに層倍してこの国から影響を受けました。
そして現在、今度は貿易交渉で又難しいことになっています。特に北海道農業が甚大な影響を受けるTPP交渉に於いては、こちら側の主張が完全に通るなどと思っている日本人は皆無です。農業改革と過疎地域創生の二つを同時に推進しなければならない厳しい局面が当面続きます。
私共はこの外圧を好機と捉え、作物転換・六次産業化・地域創生を同時に進め得る方策として「余市川ワインバレー構想」を説き歩き・実践しています。日本ワインの現状を見るにつけ、真のワイン地帯創出の可能性はこの余市・仁木が日本一、いやもしかして日本・唯一と考えて行動しています。
とにもかくにも外圧に弱い日本のこと、と言うよりは外圧を巧みに利用して自己改革を成し遂げる能力に長けている国民性ゆえ、現在大いに期待していることがあります。
今回の外圧はEUからです。西方から。TPPは農産物・農産加工品に関しては、日本とアメリカ、オーストラリアの三国交渉が主でした。現在スタート間近の(水面下では事務交渉がもう始まっている)日本とEUの二国間貿易交渉では、面白いことが起こりそうです。EUの日本への主要農産物輸出品にワインがあります。交渉ですから対象品目は同じマナ板の上、即ち同じ法律で管理されているべきです。要は日本のワイン(作り)の基準をEUに合わせよ、と。野放しで出鱈目なワイン作りの現場を監視せよ、と。
もっともこれは私の希望的観測です。先日のメルケル・ドイツ首相の来日時に随行した事務方が我が国の当局者と「日本もきちんとしたワインの法律を作るべきですね」と話し合って行ったかも知れません。
お分かりですか。私ならずとも、メルケル氏は単にドイツの代表だけでなく実質EUの代表格と考えるでしょう。楽しみです。もしそうなら、余市・仁木地区にとって千載一遇のチャンス。だってそうでしょう。ヨーロッパ基準でワインを作ることの出来る、言い換えればきちんとワイン用ぶどうを大量に栽培出来るところの筆頭にこの地があるのですから。