24.「英国とワイン」
2015/06/21
When I get older losing my hair,
many years from now,
will you still be sending me a Valentine,
birthday greetings, a bottle of wine?
英国の有名なシンガー・ソングライター(Paul & Johnのことです)の書いた詩。間違いなくまだ英国にはワイナリーが1軒も無かった1960年代の詩です。前回のShakespeareもそうですが、どうして英国の人々は自分の国で作られない酒(ワイン)のことを書くのでしょうか。昔、英国王家の血が途絶えた時、ボルドー(当時の名でアキテーヌ)の王子様が跡目を継いだので、ボルドーは英国領と思い続けているせいでしょうか。地理的にも英国海岸とボルドーは海路それ程離れていません。ポルトガル第二の都市ポルトだってそうですが、とにかく英国の方を向いて存在しているように見えますし、平和な現在、英国人が数多く観光で訪ねるのは、これらヨーロッパ西方の海岸地帯なのです。ドイツはどこへ行ったってそんなことはありませんが、ボルドーやポルトは英語が良く通じます。
きっと英国の人々はボルドーを自分達のワイン供給基地と考えているのでしょう。彼らはボルドータイプのワインが好きです。ワインの新世界たるアメリカ合衆国や南米、オーストラリア等でカベルネ・ソーヴィニョンがもて囃されるのは、英国の影響力の強さも多少関係していることでしょう。このカベルネ・ソーヴィニョン人気、気候さえ許せば栽培が容易ということや、フランス料理が西洋料理の最高峰に君臨していることも勿論大いに関係があります。
ドイツのワイン学校で私の一期先輩のハンス・シュライファーという男が今から40年前、英国のどこかでワイナリー作りの起ち上げを手伝うということは聞いて知っていました。地名も確かに聞いたのですが、忘れてしまいました。その後全く続報がありませんので、この冒険的試行は失敗したのかも知れません。しかし今や全英国にワイナリーが数百軒あるとか。スウェーデンにでさえ数軒開いたように聞いています。温暖化のせいでしょうね、きっと。
さて、冒頭の詩の結末は
Will you still need me,
will you still feed me,
when I’m sixty-four?
ですが、現在の私は
when I’m eighty-four? のfeelingで生きています。