33.「6次産業って何?」

2015/06/24

 今回はちょっと理屈っぽいことを書きます。我がOcciGabi Wineryは2013年春に農水省の推進する「6次産業化支援事業」(略称6次化ファンド)国内第一号に認定されスタートしました。国(農水省)と地元金融機関(北洋銀行本店)が私共のワイナリー事業を支援すべく両社併せて発行株式の50%を保有するというのです。
 国、地元金融機関及び私企業である私共OcciGabi Winery。以上三者のの共通の目的は疲弊した農村を活性化すべく新産業を興し、雇用を拡げるということです。かつて農政上の政策として、活性化のために種々の補助金や超低金利の融資が行われて来ましたが、地方農業凋落に歯止めがかからないため、国とその地方を代表する金融機関が連携して特殊な財政出動を画策した形です。この「6次化ファンド」の仕組みにはとても説得力があります。
 農村の基幹産業は農産物の生産ですが、それが第1次産業、しかし農産物を生産し出荷するだけでは、付加価値も低く、利益はさほど得られません。ではその農産物をより価値のあるものに加工しますと、これが第2次産業。そしてこの2次加工品を末端消費者に届けて換金するのがいわゆる第3次産業たる流通産業。以上第1次、第2次、第3次をひとつの事業者がすべて行えば、1+2+3(又は1x2x3)で6次産業となるという訳です。今迄、農村の利益が大きく減じられたのは、この第3次の部分を都会の大手企業等に任せ切りにしていたからです。一番利のあるところを他人任せにしていたのですから、当然のことながら、農村にはぎりぎりの最少利益しか還元されません。農村の後継者たる若者が、その現状を見て、故郷を離れて生きてゆこうと考えるのを誰が止められましょうか。しかも農村には雇用してくれる企業が極端に少ないのも実情です。
 さて、農村に居て原材料農産物(例えばワインぶどう)を作る第1次産業たる農業と、それを加工する(例えばワインを作る)工場(=第2次産業)と、更にはその加工品(ワイン)を直接消費者に売るべく売店やレストラン(=第3次産業)まで経営する、完全に複合化(6次化)された産業が出来たらどうなるでしょう。加工と販売、そしてその延長にあるレストラン業、宿泊業等で厖大な雇用が生まれます。
 私自身がかつて(25年前~3年前の22年間で)新潟に作り上げたCave d’Occi Wineryはそんな形態の会社でした。年商は13億円程ながら高利益体質で160人を雇用しました。充分な畑を所有するワイナリー経営とは定義そのものが6次化を指向しているのです。お分かりですね。どこかの県のようにワイン用ぶどうを充分に(どころか殆んど)保有してもいないのにワイン地帯を詐称してはいけないのです。日本一良質なワイン用ぶどうを栽培すべき耕地が大量にあって、そこに本格的ワイナリーを30~50軒ならず200軒作り上げるべきと、私が余市・仁木地区を強く推す根拠は、こんなところにあるのです。