42.輸入原料を使っているかどうかの見分け方
2015/08/01
この手法は50年前に始まりました。北海道の或る自治体の長が主にブルガリアから原料ワインそのものを輸入して、工場内でビン詰めし、おらが町のワインとして売り出しました。私は約40年前にドイツでのワイン作りの勉強を了え帰国し、いの一番にそのワイン工場を訪ねました。その工場の前にアリバイ的に植えられているぶどう畑も見せて貰いました。飲んだワインとそのぶどうが丸きり違いました。
【見分け方その①】 ぶどう畑を見せて貰うこと。ぶどうとワインが一致しているか自分の目と舌で判断すること「このワインのぶどう畑を見せて下さい。」「いやぁ、畑が遠くにあって、ちょっと、、、、。」疑念①。
【見分け方その②】 工場の建て物に無用と思われる程大きなシャッター扉が付いている時。例えば幅3m高さ4m。「この大きな開口部は何のためですか」「大きなタンクを入れるときに使います。」でもタンクは横に寝かせれば最大2mx2m程で足りるハズ。疑念②。
【見分け方その③】 「いやあ、こんなしっかりしたワインが1000円、1200円とは安いですね。原料ぶどう生産の段階で足が出ませんか。」答えなし。疑念③。
【見分け方その④】 「どうして自分の作品を入れる容器がこんなダサイ、デザインなんですか。」「いや、デザインの良い輸入ビンは高くて。」容器に意を凝らさないワインて何でしょう。疑念④。
40年前、その自治体から隣にあるもう一つの自治体ワイン工場に行きました。工場裏に廻り込むと、何と例の200ℓワンウェイ容器が山と積んでありました。最近では皆巧妙です。暗くなってから大型パネルトラックで運び込んだ何十本もの容器は、トラックごと屋内に収容して、ポンプでタンクに移し、ワンウェイ容器はそのまま積んで、かなり離れた所で廃棄処分します。大きなシャッターの疑念②の答えがこれです。
疑念①、③、④に関しましては、面白いもので悪いことをしているワイン醸造所では当主がお客と直かの話をしなくなりました。良心の呵責ゆえ、何度も何度も嘘が付けないということよりは、刑事コロンボ張りのお客が来て、返答に詰まることが多くなってきたから、というのが真相のようです。
なるべく多くの顔を合わせないお客にワインを売るには、卸しを使うのがよく、そうなると卸し値も低く設定せざるを得ず、原料や容器にお金はかけられないということになります。縁日の屋台での商売と殆んど選ぶ所がありませんね。