49.倶知安酒場
2015/08/28
「鄙(ひな)にもまれな」と言う形容がピッタリのスパニッシュ・バールが倶知安駅前にあります。その名も「倶知安酒場」。シェフの作る気の利いたスペイン風のつまみも美味至極、ワインも行けてサービスも良い。というのが決して褒め過ぎではない証拠に、偶然雑誌で知ってから通い詰めの私です。35㎞も離れているのにです。
遠い遠い昔のドイツでの学生時代から、スペインには繁く通っていて、長く滞在しても、2~3日立ち寄っても、よく思い起こすと毎深夜バールを訪れていたことに気付きます。喰いしん坊の私ならずとも、スペインでの生活の華は「バール通い」と知ることでしょう。スペインの人々は人生の時間の大部分はバールに居るか、バールに行って何を食べようか何を飲もうかと考えているのではないかとさえ思える程です。一日の締めくくりの友人達との歓談の場、いえもしかしたら一日の始まりかもしれません。深夜を過ぎて1時2時まで飲み喰いしている人がそれ程多いからです。それにしてもスペインでは新型TVは余り売れないだろうなあ、と思います。大好きなサッカーの中継は、バールで飲みながらTVを立って観るのが標準のようですから。都会でも田舎でもです。
同様の光景はイングランドでも見掛けます。いわゆるpubです。都会では半径数百メートルに住む男達が集まって来る。田舎ですと村中の男達が毎晩そこで議論をしている。えっ、じゃあ議会は不要かって?アルコールが入っています。本音が出ます。矢張り議会とは違いますね。
それにしても、男中心で男尊女卑かというと、私の考察の結果はそうではありません。やかましい連中を一カ所に集めておいた方が管理上、又集団の精神衛生上よろしいし、よく働く家畜にはご褒美をあげるべき、と女性達が考えているフシがあります。結局働き蜂は早く死ぬ訳だし、動物界では一般に女性は長生きするのですから。
我が町余市には竹鶴政孝翁のご利益(りやく)か、ニッカ工場の向い筋に70余件の昔懐かしい「スナック・バー」が健在で、夜な夜な人々は集い、グラスを重ねます。女性も男性も同じ程混じっていますので、我が町は男女同権。諸要件を考え合わせると、このスナック街はニッカ工場と共に世界遺産に登録すべき。と、酒が入った時に考えたりします。ところが、近い将来、この余市・仁木にワイナリーがいっぱい出来て、滞在型の観光客が増えた時のために、このスナック街はこの雰囲気のまま保存、継承すべき、と考える時私は逆に本当にシラフです。